会社が入手した取引先の決算書の粉飾をいかに見破るのか?

2013年09月03日

 企業が取引をしている企業の債権を確保するために、取引先から決算書を入手する場合がある。金融機関の場合においては、融資先から決算のつど、決算書と申告書と勘定科目内訳書を最低限入手していると思います。しかし、企業からは取引先からは決算書の入手しか出来ず、その決算書が果たして適切に作成されているかどうかということが分かりません。
 税務署に提出された申告書の控えを入手すれば、決算書と申告書の整合性を確かめることでその申告書が粉飾されていないことがわかると思います。もしくは、第三者に確認することで入手した申告書が適正かどうかを確認することも一つの手段だと思われます。そのための方法がいわゆる監査というものですが、任意監査が十分に発達していない日本においては中小企業が公認会計士に監査を依頼し確認してもらうことも難しいと思われます。
 そういう環境下においては、中小企業は入手した決算書をもとに取引先の決算が粉飾されていないかどうかその端緒を見抜くしかありません。
 
 いかにして決算書をもとに粉飾されていないかどうかを見抜くのか?
 まずは売掛金の動きに注目する必要があります。売掛金の残高が前年度もしくは2~3年前に比べて急激に伸びていないかどうか?そして、取引先から事業の概況を聞く中で新たな事業をしたとかその企業の取り巻く環境が変わったとかがないなかで売上が大幅に増加していないかどうか?そういう目で決算書を見ていくことが必要になります。
 また、固定資産についても前年と比べて減少していないかどうかということをチェックする必要があります。仮に前年度と比べて固定資産が減少していない場合は減価償却費を計上していない事が考えられます。この場合、固定資産が過大に計上されていることになります。 
 借入金についても、チェックする必要があると考えます。
 会社の規模が変わらない中では、設備投資に対する資金調達は出てこないため、借入金は返済にあてられるだけになりますので、前年度に比べて借入金は減少していないとおかしいです。しかし、仮に借入金が増加しているということは、会社が赤字のため運転資金がどこから調達していることになっているといえます。会社としての資金繰りが厳しい状態といえます。ただし、事業が拡大している中では設備投資のための借入金の調達や運転資金の拡大のために借入金は増加していくものですから、単純に借入金の増加だけをみるだけでの判断は危険ともいえます。ただ、急激な企業規模の拡大は、社員がその企業にしっかり定着できているか、会社がまわっていけているかどうかを確認する必要が出てきます。急激なブレーキがかかった場合に、一転して危ない企業にもなりかねないかもしれませんからね。
 あとは粗利率などでも、チェックすることも一つ方法かもしれません。

 どちらにしろ、入手した決算書に不明な点やおかしな動きがあればそのままにしておくのではなく、会社に不明点を問い合わせて不明点を解決するべきでしょう。もし、不明点が解決できない場合は、その会社の申告書も入手し、当初入手した決算書が正しいかどうかを確認する場合があります。その場合に申告書だけではなく勘定科目内訳書も入手して整合性のチェックをかけていくべきだと思います。

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Posted by 山本公認会計士・税理士事務所 at 09:09 │Comments( 0 ) 会計 経営
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