単一性の原則について

2014年06月23日

今日は「単一性の原則」についてのべたいと思います。

企業会計原則 一般原則7は単一性の原則と呼ばれています。

「株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のため等種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない。」

一般的には、単一性の原則は、企業が異なる様式の財務諸表を作成する必要がある場合であっても、それら財務諸表は企業が作成した単一の会計帳簿に基づいて作成されることを要請しているものだといわれています。

では、なぜ一般原則7は「信頼しうる会計帳簿」に基づいて財務諸表を作成するとはいわず、信頼しうる「会計記録」に基づいて作成するといっているのでしょうか?
 思うに、会計帳簿には精算表は含まれていないが、財務諸表への科目の組み替え等を行うのに精算表を通じて行われるため、信頼しうる「会計記録」に基づいて作成しなければならない事を明確にしているのであろう。

 日々の取引は、仕訳によって仕訳帳に記入され、仕訳帳の情報は総勘定元帳に集約され、試算表によって正確性が検証された上で総勘定元帳の情報は精算表にまとめられる。決算時の整理作業は精算表上で行なわれ、試算表が修正される。試算表上の整理集約された数値情報に基づいて財務諸表や計算書類が作成される。という、伝統的な会計業務の流れの中で、「精算表」は信頼されうる会計帳簿の一つである総勘定元帳にもとづいて作成されなければならないことをも求めているのである。
 しかしながら、個別の財務諸表においてはパソコン会計においては、仕訳の入力を行えば精算表の処理を意識することなく、財務諸表や計算書類が作成されることになる。
 今の時代においては、会計ソフトにより仕訳帳や財務諸表を作成している時代においては、正確な会計帳簿を作成することが、信頼しうる会計記録に基づいて財務諸表や計算書類が作成することにつながっているといえる。
 ただし、会計ソフトで作成された財務諸表や計算書類を用いず、別途財務諸表や計算書類を作成している場合には、この単一性の原則は意義を有してくるのであろう。
 会計帳簿を無視して各金融機関向けや税務署向け等に対して異なる財務諸表や計算書類を作成することは許されないのである。
 
 会社が採用している会計システムにより作成された会計帳簿に基づき、財務諸表や計算書類が作成されていることを担保するためには第三者のチェックが必要となる。このチェックをし、財務諸表や計算書類の信頼性を担保するのが公認会計士の監査である。


  • LINEで送る

同じカテゴリー(会計)の記事
 中小企業の計算書類の信頼性の担保について (2017-07-31 15:08)
 経営者にとって必要な利益管理とは? (2017-07-27 08:40)
 固定資産の管理について (2017-07-25 08:19)
 売掛管理について (2017-07-24 07:00)
 在庫について (2017-07-21 08:06)
 現金管理の重要性 (2017-07-20 07:58)


Posted by 山本公認会計士・税理士事務所 at 06:47 │Comments( 0 ) 会計
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。